触ってみよう、感じてみよう。

本記事はmast Advent Calendar 2017の5日目の記事です。
adventar.org

本記事は某プレゼンバトルで予選敗退したプレゼンを葬るための文字起こし記事です。


触ってみよう、感じてみよう。

触おに

私はアルバイトで学童保育をしています。放課後、子供たちのお世話したり一緒に遊んだりします
そこでよく子供たちと色おにという遊びをします。

色おには色を使った鬼ごっこで、逃げる人が「おにさんおにさん何色ですか?」と聞いておにが言った色を探しに行く遊びです。
色を見つけて触れることができればOKできなければ鬼にタッチされてしまうというルールです。

そこで私は色おにを元に触おにというゲームを考えてみました。

触おには色ではなく触感を使います。
身の回りにある触感を見つけて触ってみましょう


つるつる


ふわふわ


べたべた


つるつる、ふわふわは簡単に見つかりましたが、べたべたは簡単に見つからなかったと思います。

身の回りの触感に少し意識していただけたでしょうか。
実は身の回りにはいろいろな触感が存在しています。
実際にどのような触感が存在するでしょうか?


オノマトペ

つるつるとかふわふわという言葉、これはオノマトペといいます。

オノマトペは状態や心情などの音のしないものを音によってあらわす言葉です。
このオノマトペが一番触感を簡単に表すことができます


プリンはぷにぷに


紙やすりはざらざら


ではスポンジはどうでしょうか。
ふわふわということができますし、表面はざらざらしているということもできます

このように一つのものに対してもいろんなオノマトペが対応できます。
先ほどのプリンだと、ぷにぷにのほかにも触った時のべとべともプリンの触感であると言えます。
身の回りには、気づかない触感が隠されているかもしれないんです。

触覚提示技術

このような身の回りにある触感、これを使用する技術を触覚提示技術といいます。

私は触覚提示技術の研究をしています。
触覚提示技術は身の回りのものでどこで使われているでしょうか。

一番身近で復旧している触覚提示技術は振動による触覚です。
スマートフォンで通知が来た時に振動すると思います。
これは音でも映像でもなく、振動の触感を情報提示の方法として使っているということです。
これでスマートフォンを見なくても情報が伝わってきます



最近は振動をテーマにしたゲームも発売されています。

Nintendo Switchで遊ぶことにできるcount ballsという、
リモコンを持ちながら中に入ってるボールの個数を数えるゲームです。
リモコンをゆっくり傾けるとコツコツコツって振動がして確かに数がわかるんです。
これはHD振動という話題の触覚技術が使われています。

触覚の研究って何するの?

触覚に関する研究は幅広い分野に広がります。

私は情報学や工学の視点から触覚に関する研究を行っていますが、
他にも、アリストテレスの時代から始まる触覚に関する哲学、
人間の触覚にかかわる神経の研究をする生理学など様々です。

触覚を研究するためには幅広い知識も必要になります。


例えば言語学の観点からは
どのように触覚をオノマトペで表すことができるか、分類できるかを研究しています。
研究では粗さ、硬さ、湿り気の三つの軸を置き分類することが可能であると知られています。
このように分類することで目的の触覚をより正確に日本語で表すことができます。


生理学では人間が触感を感じる神経がすでに明らかになっています。

原始的な自由神経終末では温度、痛みかゆみを検知することができます。
形の凸凹や表演のエッジ、優しく押された圧力を感じるメルケル細胞
パタパタと感じるぐらいの振動はマイスナー小体
細かい振動はパチニ小体
皮膚の伸びはルフィニ終末
が関係しています。

この単純な刺激を認知する神経の反応の組み合わせで、人間はさまざまな触感を感じています。

コンピューターを使った触覚提示

いろいろな分野を紹介しましたが、私の専門は情報学と工学です。
正確にはヒューマンコンピューターインタラクションと呼ぶのですが、
どのような触覚提示技術の研究がおこなわれているのでしょうか。

触覚提示技術は大きく分類することができます。


まずは、空中触覚と接触触覚です。
物体を触って、物体の表面の触感が変化する接触型の触覚提示手法。
空中に触覚を提示する空中触覚があります。

左はREVELという研究で表面に微弱な電気を流すことで、
表面にざらざら感や抵抗感などのテクスチャを表現することができます。
左はAIREALという研究で、
小学校とかの自由研究でよくする空気砲を触覚提示デバイスにしたという面白いものです。


もう一つ、ウェアラブルとノンウェアラブルの分類ができます。

ウェアラブル型の触覚提示は手や腕、体に装置を取り付け触覚を提示します。
ノンウェアラブル型の触覚提示は手に何も取り付けることなく触覚を提示することができます。

左はPossessedHandという研究で、筋肉に電気を流すことで指を動かすことができます。
左はultrahapticsという研究で、
超音波アレイを使用して空中に触覚を提示することができます。

私の研究

すでにこのように触覚提示の研究は盛んにおこなわれてますが、
これらの研究の多くは単一の技術のみで構成されています。

しかし、単一の触覚提示技術のみを使って触覚提示をすると、
単一の触覚しか提示することができず、触覚提示の幅が狭くなってしまうのです。
例えば、解像度や力の提示する向きなどに制限ができてしまいます。


そこで私は複数の触覚提示技術を組み合わせて、触覚提示の幅を広げる研究を行っています。

どのような触覚提示手法を組み合わせればいいのか、
どのように組み合わせればよいのか、
組み合わせた結果お互いの利点を生かすことができるのか、
などを明らかにしようと試みています。



一つ目はCross-Field Hapticsという研究です。
柔らかさや画面の変形を表現できる磁性流体と、
表面のテクスチャを表現できる静電吸着という二つの技術を組み合わせています。



二つ目はSonovortexという研究です。
細かい解像度の触感を提示できる超音波触覚と、
粗い解像度の触覚を提示する空気砲を組み合わせています。

将来の触覚技術

このような研究が将来どのように使われるのでしょうか。
最近、少しずつ最新の触覚研究が製品化されて発売されるようになりました。




これは超音波触覚の製品です。
新しい空中のインターフェースとして家庭に溶け込むことができます。
ちなみに30万円で購入できます。
www.ultrahaptics.com




これは金電位を使用して、腕を動かすこと、腕の動きをセンシングすること,
の両方ができるデバイスです。
VRのゲームなどに使用することができます。
UnlimitedHand – Touch and feel the game world.



このように触覚の技術はすでに社会に普及していますし、
これからもより身近になっていくはずです。

触覚の技術が発展することで、
将来は新しい情報提示の方法として、
映像、音の次に触覚が当たり前になっていくでしょう。

将来大きく普及していくであろう、
触覚、触感に興味を持っていただけたら嬉しいです。

ありがとうございました。

WindowsでLaTeXをPDFにするときフォントが埋め込まれない問題の解決方法

ACM LaTeXテンプレート
www.acm.org
これはACM系の学会に投稿するときに使うテンプレートです。

しかし、これをそのままwindowsコンパイルしてPDFにするとフォントが埋め込まれなくて、カメラレディー投稿時に修正しろとチェアーから言われる場合があります。
これはType3フォントというWindows環境では埋め込むことのできないフォントが使われているからです。
Macコンパイルすれば問題ないのですがWindowsのみで解決する方法を説明します。

 

\usepackage{lmodern} 

このパッケージを使うとType3フォントを使わなくなりますが、チェアーからこのフォント違うぞって怒られます。

 

\RequirePackage[varqu]{zi4}
\RequirePackage[libertine]{newtxmath}

これをtexファイルに追加するとうまくいきます。
zi4のスタイルファイルがない場合は以下から落とすことができます。
CTAN: Package inconsolata

それでは楽しい研究ライフを。